狂うまで夢日記

人間不適格

夏至祭

見てきましたよミッドサマー。滅茶苦茶に寒い雪降りの渋谷で、話題の映画のチケットを開始2分前に買う感じ、横に俺だけがそのエグいぐらいの可愛さを知ってる女の子が居たら百億点満点でした。居なかったので90点ぐらいです。

参考ですけど、ジョーカーは85点、ララランドは100点、インターステラーは94点、シェイプオブウォーターが98点、冷たい熱帯魚85点ぐらいです。M-1の点数か?あんま映画見ないんで正直、良し悪しとか分かんないですし、上映時間で見たり見なかったりは無いです。バズった奴と、滅茶苦茶気になった奴だけ見ます。アマプラとかで。

ミッドサマーに対して、ツイッターで負の感想が流れて来るんですよ。バッドトリップの描写がどうとか、脳挫傷で死ぬ人間のイビキがどうとか(あれが死戦期呼吸なのか?)悪意を煮詰めた後に乾燥させた悪意を振り掛けたような作品だとか。

「う〜ん、このシーンはこうなりそうだな〜」とかのんびり考えてたら、本当にその通りになるんですよ。それがなんか、想像の5倍ぐらいのエグみで出てきます。自分はあんまりグロシーンとか好きじゃないんで、耳塞いで薄目で見てました。言い訳すると、肝心なのは「常軌を逸した行為が行われた」とか「不必要な痛み、辛みを与えられている」という情報であって、砕けた骨の飛び出し具合とか、顔面の肉の抉れ具合とかは、それがトリックの肝になっているミステリー映画とかじゃない限り、極力見ないようにしてます。というかタダ見れないだけなんですけどね。

そう、トリック、北欧版TRICKってネット上では言われてましたけど、何とな〜く言いたい事が解りました。北欧版トリックというか、北欧版母の泉?そういうカルト宗教の話なので、得も言えない感じの気味悪さがありました。

そもそも、ストーリーの展開が、ゆっくりゆっくりなんですよ。「冗長や〜」って感想を多く見ましたけど、自分は丁寧という印象しか受けませんでした。でもその癖して、大まかなストーリーは最初の方に出てくるタペストリーとかで滅茶苦茶雑に(何ならそのタペストリー見るだけでええやんぐらいに)説明されます。

だからそのタペストリーを見て「ああ、こんなふうに動くんだな」とか「ストーリーが主眼じゃ無いんだな」とか、そのぐらいの感じで構えていたんですけど、ジワジワと毒が回るように主人公達を蝕むカルトの異常性が本当に怖くて、例えば、あの独特な呼吸の仕方ひとつ取ってもそうですし、皆ブロンドなのに、物語に関わってくるカルトの女の子だけ赤髪だったり(髪色の遺伝について詳しくないのでひょっとしたら正常の範囲内かもしれません、そうだったらめんご)、忌み子を意図的に作ったりとか、そういう所が怖くて、何故なら自分は、この映画を映画館で見てしまっているからなんです。

例えばこの映画が「あの大ヒット作品が地上波初放送!」って言ってテレビで流れたりするじゃないですか。そうしたら、映画を見ていく上で気になる事をネットサーフィンで調べたり、有識者の呟きから学んだり、ちゃんとした文献の資料を見れたりするんですよ。そうすると、主人公達と大きな知識の差が出来てしまう。「ああ、この言葉には、この行為には、こういう意味があるんだ」ってなるのと、実際に主人公達へ降り掛かってから「うえ〜趣味めっちゃワル〜…」って登場人物と共感出来きる方がおもろいじゃないですか。

自分は特段、感情移入して映画を見るタイプの人間では無いのですが、主人公が「不安障害」という事で「あ〜わかるわかる、その涙わかる〜〜」とか、なっちゃって、そこは確かに今回ちょっとしんどかったです。フラッシュバッグの感じとか、別々のトラウマが組み合わさって見えてしまうとか。うつ病患者に、皆がこの映画を勧めない理由が解りました。進んで見に行くなら止めないけど、迷ってるって言われたら止めるよ。ぐらいのスタンスです。

でも自分には主人公と違って、仏教の死生観に(正直2割ぐらいしか理解できてないけど)納得しているというか、現状蔓延ってる概念を受け入れている部分がありましたし、おまけにセックスに関してドライじゃないというか(主人公カップルの性生活について描写は無かったんで、あくまで想像ですけど)、普通にセックス大好きなんで、「種の保存の為」だけだとしても、それがセックスなら全く厭いません。ヘテロ以外の人間もまた、軒並み映画を見て死んでいるのは、リトル・ペブルじゃ無いですけど、ああいうのに拒否反応が出たからかも知れません。

確かに、そこら辺に疑問がある人や、尊厳死という概念、輪廻転生という概念、我々はどこから来たのか 我々は何者なのか 我々はどこへ行くのか、みたいな事を常日頃から考えていたりしたら、しんどいかも知れません。ぽんぽこ。

そうそう、で、それに、テレビで見るとすると15分おきにCMが入って、そのCMが現実世界に連れ戻してくれるんですよ。関西電気保安協会とか、ヒラパーとか、ホテルニューアワジとかが日本に、自室に、ベッドの上に。だけど映画館だと、全く逃げ場が無くて、真ん中の席に座ってたら途中退室を憚れる感じは、主人公が疎外感を恐れて、ドラッグを渋々やったりするのと、同じなんですよね。映画を見るという行為が、逃げ場がないという事が、主人公達の追体験になっているんですよ。多分、そういうこと考えて作ってそう、監督は性格悪そうだし。音響もかなり凝ってましたし、カルト追体験という面でも、映画館で見れてよかったと思います。

 

こっから気になった所を列挙して行きます。しっかりしたネタバレなので(ここまでは、結構気を付けて書いてた)僕はもう見たくないし、あんまり知識がないので、考えるのを放棄しますが、これから見る人が居るなら考察してください。R-18のディレクターズカット版なら逆にメチャ見たいので、誘ってくだだい。

 

①ラストシーンの笑顔の意味

監督は「主人公は狂気に堕ちた者だけが味わえる喜びに屈した。主人公は自己を完全に失い、ついに自由を得た。それは恐ろしいことでもあり、美しいことでもある」と言ってるらしいですが、まあ言いたい事、全部言われとる感ありますね。さすが製作者。

共感してくれていたであろう家族を失い、まともに取り合ってくれない恋人を殺し、その悲しみをカルトの奴らが共感して、叫んでくれるんですよ。自分を女王と崇めてくれながら。これでカルト道に堕ちるなという方が無理です。良かったねダニー、あなたの事を思う本当の仲間だよ。

 

②主人公の自我の曖昧さ

不安障害患者に「主体性を持て」とかKing of NGワードな訳ですけども、こいつほんま主体性が無さ過ぎます。恋人がそういうなら…周りがそんな空気だから…そんなんで行動してばっか。自分で行動を起こした、スウェーデン旅行に付いていくという決意、講堂を覗くという決意、前者はハッピーとバッドがハーフ&ハーフだとしても、後者は100%バッド。報われねえなお前。

 

③本当に90年に一度なのか?9日間なのか?

なんかラテンでだったか、ギリシャでだったか忘れましたけど、9は完全な数字で、最高な数字らしいです。なので祭りは90年に一度の開催だし、期間は9日間だしで…ほんまか?ほんまに90年に一度なんか?ペレの両親は焼死したって言ってたけど、それはお前、生贄になっとるんちゃうか?皆儀式に、手慣れすぎとちゃうか?ほんまに9日間なんか?どんなに多めに見積もっても作中では6日間ぐらいしか経って無かったと思うぞ。ひょっとして、メイクイーンもこれから消されるんか?

 

④主人公の恋人の役目

主人公の恋人の名前はクリスチャンなんですけど、このクリスチャンが自己中心的というか、精神病の彼女を放り出してパーティーに行くし、勝手にスウェーデンに行くとか言い出すし、いきなり「カルトの論文書くわ」とか言い出すし。でも、このクリスチャンって多分、自分達でもあるんだと思います。ジコチューの所を上手く言葉で落とし込める事は出来までんけど、彼が主人公と距離を置いて、うっとおしいものとして見ているように、自分達もまた、カルトや、そもそもこの映画の事を疎ましく思っており、作中では個が個を嫌っていましたが、メタ的な視点で見ると、集団が集団を嫌っているだけでした。

 

⑤クリスチャン
というかクリスチャンという名前よ キリスト教徒がやってきた魔女刈りを意趣返しされてる訳で、まあなんか思う所があるんやろうなという感じ

 

ここまで書いて、メンタルが死んでるのに気付いたので終わり!爺さん死んで、3.11に三陸行って、原発の目と鼻の先行って、ミッドサマー見て、日頃は、一日一回しか外出しないような人間なのに、最近明らかに調子こいてインプットし過ぎてる!

マジで全然アウトプットが追い付いていないっぽい。というか、多分、物事をゆっくり時間をかけて、再構築して、アウトプットしないといけないのに、(だから1日1行動って決めてるのに)そこをすっ飛ばしてアウトプットしようとしてるから、アウトプットした気になって、それで片付けてたけど、本当は滅茶苦茶に、何かが高く積まってて、だと思います。

ヤバくね?見返したら急にバグり始めててウケる。まあでも、そういうの抜きで普通にミッドサマーは嫌というほど丁寧に丁寧に不気味な感じと、いかにもなカルトを描いた、不気味な、スウェーデンが舞台ではありますけど、和ホラーめいた感じでした。もう一回見たいです。ディレクターズカット版のお誘い、待ってます。

 

という文を3/15に書きました。

 

敢えて全く手直ししてないけど、⑤からホンマにヤバくね? 当時公開を躊躇ったワイちゃん有能やでほんま またバグったら怖いんで手直しせずに上げます 紀行文はおろか、最近のブログ全否定みたいな内容だけどな